ALBUM「光冠」 本人による作品解説

 
はっと気がつくとDarie-gardenも開設ほぼ一周年。おまけに30000アクセス。嬉しい限りです。もう、めちゃめちゃ嬉しい。いつも遊びに来てくださるみなさん、ありがとう。おまけに来月にはミニアルバムも出ます。なのでせっかくの30000アクセス記念といたしまして、一足早い楽曲解説のよーな、プチ種明かしのよーな、言い訳のよーな、駄文を書いてみました。これを読みながら10月25日に発売される『光冠(コロナ)』を聴かれるもよし、いずれそのうち購入しようと思いながらこのプチ解説文を読んですっかり購入した気になってしまうのはヨロシクないですが、アルバム入手困難な場合もございましょう、注文されてお手元に届くまでの間、少しでも楽しんでいただければと思います。    

ミニアルバムを作りたい、とボンヤリ思いつき、曲を書き、曲を選び、録音すべてが終了するまで、そう長くはかかりませんでした。ピリピリとした緊張感とも無縁。自分のことを自分のためにしている「あたりまえ」で「じゆう」な状態。びっくりするほど楽チンな録音でした。楽チンな集中状態。

今回収録した曲は、どれもコンピュータを使った打ち込みが主体。主体というより、ほぼ全て。ニンゲンによる生演奏が占める割合は、ごく僅かです。「ニンゲンにはニンゲンにしか出来ない事をしてもらう」。今回演奏をお願いした数少ないニンゲンの方達は、見事にそれに応えてくれました。CDを聴いてのお楽しみです。

打ち込み作業はすべて一人。音色を選ぶのも全部一人。けっして潤沢に機材があるわけではありませんが、限られた材料に工夫をこらして求める音にしつらえるのは、深夜の台所、誰にも邪魔されず、冷蔵庫のあまりものであれこれ自分流のお惣菜を作り置きする楽しみに似ています。
2台のMacintosh、小さめのコンソール、楽器やモジュールが乱雑に組まれた私の作業場にはめったに家族以外が立ち入ることも無いので、雨の日は洗濯された干し物がわらわらと頭上に。マシンの配置や配線も一見乱雑で、他人が見るととても使い勝手が悪そうですが、私にとってはあまり関係ないのです。どこでも作れれば、満足。たとえ隣で伴侶が大きなヘッドフォンを装着し嬉々として「火曜サスペンス劇場」を見ていようと。

やっとこさ出来上がったデータをメディアに移し、1階にある伴侶のスタジオに私のシステムをそっくりそのまま移動させてようやくマルチテープが回り、世間一般に「レコーディング」と呼べる作業に入るのですが、今回はこの期間が異常に短い。なにせほとんどが打ち込みですからね。録音技師は伴侶=鈴木博文であります。貢献度大! 感謝!! しかも無償!!!伴侶だから!!・・・・う〜ん。

何年も前に作った曲もあれば、このアルバムのために作った曲も。
一番古いものは15年前に作った曲。
音盤化されていない曲は他にもたくさんあるのに今回なぜこの6曲が選ばれたのか、おそらく理解していただけるのでは・・と皆さんの包容力に甘えながら、一曲ずつプチ解説いたしましょう。


1.光冠〜コロナ〜
7年ほど前になるのですがJA共済のCMを何本か担当しまして、そのうちの1本がこの曲の原形です。女性の演出家さんの手による映像、出演は原田知世さん、光を感じるやさしい手触りのコマーシャルでした。打ち合わせの際、発注する曲のイメージを伝えるために演出家さんが走り書きした「せっせ、せっせと、よっこらしょ」というメモに触発されて、すらすらと作った記憶があります。
CMオンエアー期間中にタイアップのお話がもちあがったので、あわててロングバージョンに仕立て直しましたが、企画が流れてしまいタイアップは実現ならず。その後私の手元でマイナーチェンジを繰り返し、今回の形に落ち着いたのです。
老犬のつぶやきみたいなE.Bassは、鈴木博文。

2.うごく
そろそろミニアルバムに収録する曲も出揃い、データを整理していた頃、ぽっこりとわいて来た。ぽっこりわいて、頭の片隅にくすぶらせていた時、天王洲で知人の出演する芝居を見ているうちにどんどん出来て、家に帰る車の中でほぼ完成、もう歌ってました。
その瞬間の「気分」をなるべく具体的ではない形で、もう脱力状態で出るにまかせて何も考えず。説明もなし、起承転結もなし、無意識の手癖は仕方無いけれど、作りながら脳の暖まる場所を少し変えてみる感じで。
西村哲也くんのE.Guitarの音色、スコンと眉間に入って来る感じが好き。西村くんはこの日、ビーバーという名のファズを持参してくれたのでした。

3.天まで飛ばそ
初めてMacのワープロソフトで文字を打ってみた時、何か散文でも書いてみるつもりがコレになった。最初は「詩」だったんです。友人の写真家やパフォーマーとコラボレーションLIVEを企画した時、その詩に音楽をつけてみたのが今回のこの曲。口の中の遊びみたいな事を漠然と目指してはいたけれど、歌うと思っていたより面白い。自分で書いたものなのに、すごく意外な風景が勝手に浮かぶ。ある友達いわく「風邪で寝ている鍵っ子のイメージ」なんだそうです。うんうん、それもある。簡単に浮かぶ。私は鍵っ子だった事は無いんですが、なんでだろ。

4.あやめDANCE
歌詞は特定の地域の言語ではなく、造語です。どこぞの稀少な少数民俗の言葉だったりすると文句無しにカッコいいのでしょうが、そんな特技があった日には音楽なんてやってません。「造語もの」は昔からたまーに凝っていて、私にとって「お楽しみ」の一つ。この曲はもともとピアノが主体のインストゥルメンタルでして、15年ほど前の曲です。サイズもニュアンスもその当時のものを引きずる形で組み立てていたのですが、今回いざピアノ録音という段になってどーもしっくり来ない。試しに鼻歌で歌ってみたらば「あっ」という間にめくるめくインチキ造語の世界に。ちなみに歌詞カードには掲載しておりません。

5.月の丘
前アルバム収録曲「デイジー」にちなむ某イベントの開幕の音楽として作ったものに、手を加え何年かあたためていた曲がもとになってます。スットンキョーなボーカリゼーションが本来この曲の特徴だったんですが、今回は大幅に変更。どうか、ぼんやりと聴いてください。ぼんやりとした6分13秒をぼんやりと過ごし、ほどけてください。

6.テツボー
西暦2000年を迎えた今春、大昔に1stアルバムを出させていただいたレコード会社のお祭りイベントがありまして、大勢のアーティストが参加することに。そこで歌うために書き下ろした曲です。
春キャベツを料理していて、ふと作った。
Acoustic Bassは鈴木博文。下手っぴなブルースハープは、もちろん私です。

 


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